ふだんきもの杏

私の着物の始まりは成人式。

七五三で着物を着ることはなく

日舞や茶道など習う機会もない田舎に育ち、

着物に全く縁のない10代でした。

 

成人式では母と祖母が選んできたピンクの振袖。

自分用に誂えてもらったことがとてもうれしかったです。

 

その後実は母が着物を持っていることが発覚!

家業のためか、着物を着ている姿を見たことがありませんでしたが

独身時代には結構着物を着て楽しんでいたようです。

 

それからお正月に着物を着せてもらうようになりました。

そして自分用の小紋・名古屋帯を誂えてもらいました。

(気に入った小紋は30過ぎたら絶対着られないからやめなさいと

店員さんにも母にも言われましたが、30過ぎても着ています。

まさかこんな自由スタイルに変化するとは夢にも思わず・・・)

 

2008年冬(24歳)

まだ学生だった私は、働くようになったら着付けを習おうと決意していました。

就職の後、6回で終了する無料着付け教室に通いました。

 

終了後ほとんどの人が有料のコースに進む中

お金がかかるならいいやーーと私は丁重にお断りし

次の無料教室を探します。

 

この時は、全6回で浴衣から二重太鼓まで全てをさらっと

一通りこなした感じで、特に試験もなかったのでなんとなく時間が過ぎ、

これで自分で着られるぞ!という感じではなかったんですね。

 

次の無料教室は、CMでおなじみの(笑)某大手無料教室でした。

 

こちらでは色々苦い思い出もありますが、勉強になることも多く

週1回のレッスンに通いつつ、自宅での復習も欠かさず行っていました。

 

高級な帯も買ったりしちゃいました(汗)が

ここで恩師とも呼べる着付けの先生に出会い、

着付けをしっかりとマスター。

 

その教室が終了するころ、私は当時の自分の仕事について

壁にぶち当たっておりました。

 

実は税理士の専門学校に行き、税理士事務所に勤めていた私。

ずっと自分には向いていないと思いながら

他にやりたいこともなく、続けるしかないと思い

勉強して就職して・・・

 

就職してみるとますます向いていないことがわかってきました。

 

そんな時に着物の魅力にハマり、信頼できる先生に出会い、

私の「思い込んだらまっしぐら!」な性格も手伝って

着物の道に進むことを決断しました。

 

たった一年で退職すること、着物を生業にすること

両親には反対されましたが、私の人生は私で決める!と突き進んでしまいました。

(今はちゃんと認めてくれて応援してくれています。)

 

先生の元で一級着付け講師まで資格を取得し、いざ!着物の仕事をしよう!

 

着物の仕事!

 

着物の仕事!!

 

着物の仕事!!!!

 

・・・着物の仕事

       どこーーーーーー!????(@◇@)

 

 

そうなんです。

着物の仕事ってどこにあるんでしょうね?

 

当初、先生が例の無料教室で働けるようにしてくれると

おっしゃっていたのですが実際には空きがなく働けませんでした。

(そこに入らなくて結果的には良かったと思いますw)

 

 

着物の仕事を探すのは大変でした。

(ハローワークなどで、なくはないのですが自分に合うところとなると・・・)

押し売りみたいなことはしたくないし。

着付士としては、そこの流派を学びなおしたりしないといけなかったり。

 

1年間、短期の派遣(すぐに辞められるように!)で3か月くらいづつ転々としながら

地道に着物の仕事をさがしていました。

 

2009年夏(25歳)

そんな時、某SNSで出会った着付けチーム。

とあるSNSで着付けチームのグループを発見したんです。

 

月に一度練習会をやってるとのことで、見に行ってみたところ

振袖の着付けをすごい勢いでやっている皆さんが!

若いのに理論的な着付けをする先生に惹かれ

そのチームに参加することにしました。

 

先生に、某大手レンタル着物店での仕事も紹介していただき

晴れて「着物の仕事」に足を突っ込むこととなったのです。

 

着付けチームはその着物店の着付けを担当するチームで

同じようなチームがたくさんあるのですが、

主に成人式や大学での卒業袴の予約会や当日の着付けの仕事をします。

 

お店に行ったりチームの仕事をしたり(他にバイトもしてました)

忙しい日々を過ごしながら、先生には目を掛けていただき

成人式や卒業式では1年目ながら特別に着付け補助も少し任せてもらい

 

2年目にはもっともっと仕事を覚えるぞ!

 

っと思ったところで諸事情によりお店を抜けることになりました。

(その後就いた仕事が忙しくチームも抜けることに。)

 

また着物の仕事を探す日々に逆戻りかぁーーー(´Δ`)

 

2010年夏(26歳)

その頃、着物の販売イベントで知った「リサイクルきもの福服

 

浅草店に行ってみると、なかなかリーズナブルなお値段で

たくさんの着物を扱っているではないですか!

 

それまでヤフオクでちみちみ安い着物を手に入れていたので、

リサイクル着物店というものを初めて知ったのです!

 

うぉーーー!!いいな、ここで働きたい!

 

「思い込んだらまっしぐら」発動です。

 

こういう着物屋さんって多分ハローワークとかに求人出すことは

ないだろうと思った私は、とりあえず福服の社長に手紙を出すことに。

 

着物への思いや福服の精神への賛同など、とにかく私の気持ちを

数枚の便箋にしたため、履歴書を添えて送ったのです。

 

福服の社長から電話があり、「今は空きがないけどとりあえず会いましょう」と。

 

またまたここで素敵な出会いが。

話をした結果、とても気に入ってくださり

空きはないのにねじ込んでくださいました(笑)

 

浅草店では、ベテランのおばあちゃまがメインでお店を回していらしたので

そのサポート役としてお勤めさせてもらうことになったんです。

 

その後、スタッフの入れ替わりもあり、

お店をメインで取り仕切らせていただくようになりました。

 

福服では、一人でお店番をするため

混雑したときには目が回りそうな忙しさになることもありました。

 

土地柄、外国人の相手をすることもあり

 

オーケー、オーケー、ユー トラーイ!
(試着していいよー、と言ってるつもり)

ワーーオ!イッツ クール!

(うん、似合ってるよー、と言ってるつもり)

キモノ イズ トゥー ローング!

ビコーズ タック アンド アジャスト アット ザ ウェスト!

(着物はおはしょりで調整するからすごく長いんだよー、と言ってるつもり)

 

・・・こんなレベルの英語で対応したり

 

着物のお出かけサークルを作ってみたり

 

半幅帯のレッスンやコーディネート勉強会をやってみたり。

 

いろいろな経験を福服でさせてもらいました。

 

そんな毎日の中で

もっと私らしい着物を売りたい

私らしい自由な着方を発信したい

と思うようになっていきました。

私が本当におススメしたいデザインやコーディネートを

もっともっと紹介していきたい

私にしかかできない仕事がしたい

 

そう思って独立を決意しました。

 

福服に入って約3年半でした。

ここでもまた、母には早すぎると猛反対を食らいました。(笑)

 

2014年春(30歳)

福服では3年半勤めさせていただき、

楽しくお話しさせてもらえる常連さんもたくさんいました。

後ろ髪を引かれる思いもありましたが

普段の着物をもっともっと知ってもらうため

私にできることをしようと思い福服を卒業しました。

 

今年(2015年3月)で15周年を迎えた福服の背中を追って

私も1周年を迎えることができました。

 

まだまだふだんきもの杏を知ってくださっている方は少ないですが

これからも精進していきたいと思います。

 

こうして改めて振り返ってみると

 

講師のお免状を取らせて下さったK先生
振袖、卒業袴の着付けを叩き込んで下さったO先生
そして福服の福田社長

素晴らしい先輩方との出会いに感謝です。

 

2015年4月29日

HPブログ運用スタートした日の記録。

 

 

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追記。ここからはふだんきもの杏の記録を追加していきたいと思います。

 

2016年秋(32歳)

福服時代から5年ほど住んでいた墨田のアパートから吉祥寺に引っ越してきました。

目的の一つは現・主人との同棲でしたが、もう一つは、お客様に来てもらえるようにするため。

 

墨田のアパートは1DKでしたので、生活スペースはほぼなく、近くに倉庫まで借りていました。

私はネットショップがやりたいわけではなく、お客様と直接お話をしたかったので、

たとえ自宅でも専用のお部屋を用意して、人が来てもいいような環境にしたいと思っていたのです。

 

ちょうどその時、彼に結婚もそろそろ考えてほしい時期でしたので

二人で住めて、着物部屋も用意できる一軒家を探し始めました。

 

あちこち見た結果、希望の一軒家ではなかったのですが

奇跡的に吉祥寺に予算内に収まって、なおかつお店的なことを許可してもらえる

お部屋が見つかったのです!

 

広くはないのですが結果的に吉祥寺を選んで本当によかったです!

吉祥寺って、知らない人ほとんどいないですからねぇ~。

 

そして、この吉祥寺のお家で、毎月「フリーオープンデー」を開催したり、

オープンデー以外にも、ご予約をいただきご相談に乗ったり着付けレッスンをしたりと

活動にも幅が出てきました。

狭いお家で、「きものバスケット」を開催したこともありましたね。(2017年3月)

 

 

ちなみに、2017年の11月に、無事結婚をしました。

 

 

2018年春(34歳)

人間ってどうしてか、欲深いもので・・・

年明けたくらいから私はお店が持ちたくなりました。

 

主人は、賛成しているようで実際は反対しているなという感じでした。

そりゃあそうですよ、一大事ですからね。

 

私自身、ずっと店は持ちたいと思いながら自宅営業していたのは、

「覚悟」ができていなかったからだと思います。

 

その覚悟がこのころできてきたというか。

 

現実的にお店の家賃の相場ってどれくらいなのか、とか

月にどれくらい売っていけば採算がとれるのか、とか

ちゃんと考えたことはなかったですからね。

 

試しに空き店舗をネットで探してみたら、吉祥寺はそりゃ高いです!(笑)

でも、やっぱり吉祥寺でやれたら最高!

 

さあ!ここでまた「思い込んだらまっしぐら」発動です。

 

いろんな物件サイトを見ては、実際にどこなのか外観だけでも見に行ってみたりしながら

主人にも時々打診しながら(まだちゃんとOKは出てませんでした)

出逢ったのが今のお店。

 

実は、結構前から空いていた店舗のようで初めに中を見せてもらったのは2月ころだったかな。

まだ主人がOKしてくれていなくて、でも気になって見せてもらってすごくイイと思いました。

 

主人に話したら、家賃高いんじゃない?と一蹴され一旦あきらめました。

(吉祥寺しかも徒歩1分圏内で言ったら最安レベルですけどね!)

 

その後もいい物件は見つからず、もう一度まだ空いてるかを確認したのが4月ごろ。

 

その時すでに空いてから半年ほど経っていたようなのですが、まさかの「空いている」!!!

 

店舗物件って、お店が閉まる3か月くらい前からもう募集が始まるようで、

大抵すぐに次のお店の工事が始まったりするものらしいのにまだ空いてるなんて

これは私を待っている!!!!と勝手に解釈し、(笑)主人を口説き落としました。

 

無事に主人のOKも出て、晴れて吉祥寺店OPENとなったのです!

ネットショップから初めて5周年の年に実店舗オープン。

まだまだ、お店を知ってもらうのはこれからですが、吉祥寺という土地柄は

本当にいろいろなところから人が集まる場所なので、たくさんのお客様に

来てもらえるよう、広報活動頑張っているところです。

 

 

2018年10月1日

お店を5/25にオープンして、4か月ほど経った日の記録。

 

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2020年9月(36歳)

 

吉祥寺でお店を開いて約2年。

 

吉祥寺という着物に縁遠い街。

私の知る限り約3年ほどで4点のきもの屋さんがなくなりました。

リサイクルの着物業界も競争が激しいです。

 

それでも遠くからたくさんの人が買い物に来る街。

 

少しづつ、お客さんが増えてきたころ・・・

 

 

そう、あの災厄が日本にもやってくるのです!

 

2020年の年が明けてから世界中を震撼させた

COVID-19!新型コロナウイルスです!

 

2か月の営業自粛。

 

それが明けてからもお客さんは激減しました。

 

夏に入ってもコロナ禍の収束の兆しが見えませんでした。

 

夏の花火大会も、着物のイベントも、中止。

気軽に出かけることすら難しい世の中になってしまいました。

 

給付金など国からの助成はありましたが、

このお金で家賃を払い続けても、いつ元通りになるかわからない。

それだったらこの助成をお客様に還元できれば。

そう思って、お店を閉店することを決めました。

 

お店を閉めて、長野の地元へ帰る。

お店の家賃がなくなる分、着物の販売価格をぐっと安くする。

そう決めたんです。

 

幸い旦那氏がフリーランスのプログラマーで、東京という場所に

固執しない性格というのもあり、快諾してくれました。

 

四度目の「思い込んだらまっしぐら」発動です。

 

閉店を考え始めたのが7月。

ちょうど自宅の更新期限が9月末でしたので、それに合わせて

お店をすぐに閉めることになりました。

 

慌ただしく閉店セール、店舗と自宅の引っ越しを経て

10月の終わりに長野での新生活を始めました。

 

私の地元とはいえ、寒くて寒くて寒くて・・・

とにかく寒い時期を迎えていろいろ大変ですが、

穏やかな日常を旦那氏と、実家の家族とともに過ごしながら

お仕事を頑張っています。

 

「超」の付く田舎で、着物を着る機会が全くないのが今の悩みです。

 

 

2020年12月。引っ越してきて、ようやく落ち着いたころの記録。

 

 

 

 

 

 

 

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